角田俊也|偽夏 Dec.5–13,2025 / Jan.14–Feb.21, 2026

角田俊也|偽夏

 

[写真と録音]

 

フィールド・レコーディングの作家として国内外で評価される角田俊也は、近年は映像など視覚芸術へも表現範囲を広げつつありますが、録音も映像も、ロケーションは子供時代から慣れ親しんだ横須賀・三浦付近の海沿いのエリアにほぼ限定されています。人影のない茫漠とした風景で、手つかずの自然でもなく廃墟や朽ちた人工物も点在しますが、かといって近頃情報のデッドエンドを「リミナル・スペース」と呼ぶ風潮とも異なるこの地こそ、角田が没入できる特別な場所なのです。

 

2025年、夏の終わりのある日、角田は半ば冗談めかした「大いなる夏と偽夏の話」と題された神話風のエッセイをSNSに投稿しました。これは光の唯一性、つまり闇すらも光の不在であるとする角田の持論の相似形で、本展の起点になっています。以下その一部をご紹介します。

 

俗に季節を四つあるなどというが、そもそも季節がいくつもあると考えること自体が誤りである。季節はひとつしかない。大いなる夏があるだけである。季節が複数存在するように感じるのは夏の不在と偽夏のせいである。大いなる夏が種から生まれるのは三月。そして大雨の洗礼を受け上空の雲を制し、大いなる夏は世界に君臨する。それは偉大である。地に生え、這う生き物、空や水や土を泳ぐすべての生き物に力を与える。特に草木たちは絶大な力を受ける。大いなる夏は太陽の力だけではない。太陽と大気と地の結びつきによって顕れた姿である。大いなる夏が君臨するあいだ、地には高らかな歌声が響く。これは虫や蝉の歌のことではない。何故なら蝉は偽夏にも鳴くからである。太陽が沈んだあとも歌声は余韻を残す。その歌声は耳に聞こえるものではなく、神経や精神を通じて生き物のからだに響くものである。青い大気は精神の媒質となり、わたしたちへの啓示としてその君臨を知らしめる。…

 

全文は、会場またはスプラウト・キュレーションの機関誌Nue(鵺)2号に収録しましたので、そちらをご覧下さい。

 

本展は、角田俊也が2025年の〈偽夏〉に、三浦半島で撮影した写真と、同じポイントでフィールド録音し加工した音響を、合わせてひとつの作品とする試みです。歪んだ円形のピクチャーレコードと、また写真を額装した透明なカバーに音源をダイレクト・カッティングした作品を展示・販売いたします。年末年始休暇やTABF(W2)での販売もありますので、弊廊のSNSやウェブサイトでスケジュールをご確認の上ぜひご来場下さい。

 

作家ウェブサイト

*direct cutting by ART VINYL.TOKYO, Nobutada LODIO Yaita

 

[会期]

2025年12月5(金)―13(土)

2026年1月14(水)―2月21(土)

[営業時間]

水–土曜:13:00–19:00

日・月・火・祝祭日:休業

 

[会場]

〒106-0032

港区六本木6-12-4 

六本木ヒルズ・レジデンスD-1006

03-5775-3839

[都営バスRH1系統]渋谷駅から–六本木けやき坂下車徒歩1分

[東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線]六本木駅 徒歩5分

[都営地下鉄大江戸線・東京メトロ南北線]麻布十番駅 徒歩7分

*会期中はアポイント不要です。蔦屋書店の裏とGUCCIの間に入り口があります。フロント脇のインターフォンで1006呼をプッシュして下さい。