角田俊也|スクリーニング3|ふたりでひとつの景色 Apr.04–Mat.04.2025

角田俊也|スクリーニング3|ふたりでひとつの景色

2025年4月4日(金)―5月4日(日)

プラウト・キュレーションの神保町オルタナティブ・スペースThe Whiteでの企画展示、2025年の最初は、先頃東京都写真美術館で開催された恵比寿映像祭2025に於ける展示とパフォーマンスで、確かな存在感を示した角田俊也のスクリーニング第3弾です。

「風景はいつ、どこに、どのように現れるのか。風景を成り立たせるものは何か。風景は見つめる者に現れる。その景色は見つめている間だけ現れる。2人して同じ風景を見つめるとき、その景色はひとつなのか、ふたつなのか。」主観的視座を追求する角田の映像を用いたアプローチを2つの展示室で発表します。


フィールドレコーディングとインスタレーションの作家として内外で活動してきた角田俊也は、近年視覚芸術に活動の場をシフトさせつつあります。そのアプローチは、おもに映像とユニークな支持体の制作(開発)に重点が置かれています。イメージの記録としての映像(光)は、支持体の物質性と出会い、そのテクスチャーと絡み合うように、新たなイメージとして出現します。そもそもそれが絵画の構造であると角田は考えているわけです。

投影される映像の撮影は、マイクをカメラに置き換えたようなフィールドレコーディングとの相似性があります。角田はかつて、中世哲学研究者の鈴木敦詞氏との共作《Vesper – The Temple Recording》通称「こめかみ録音」において、双方のこめかみに装着したマイクを通して聞こえる、教会での祈りの音を、ひとつの録音として定着させました。本展の《ふたりでひとつの景色》はその映像的な展開で、二人の異なる人間の眼を通して受像した風景を、ひとつの映像として再生する試みです。本作品では支持体を開発することではなく、絵画のフレーミングの要素として「窓」を設置しています。

《エーテル的色彩》は、コンタクトマイクのように水中に小型カメラを設置し、水の中で揺れめく光の中に色彩が溶け出すかのようです。支持体は70cm四方の鉄板で一部が自然に錆びていてします。その上にナイロン製の布をシワを活かした状態で貼ることで、投射されたイメージはムラのある鉄の反射と、それをつなぎ止めるようにナイロン布のテクスチャとアンデュレーションが作用し、朧気に浮かぶイメージは、まさにアンビエント絵画と呼びたくなります。

《啓示的風景》は「何かを探しに行けば、探した何かしか見つからない」と言う角田が、慣れ親しんだ三浦市の毘沙門海岸の自然から、啓示的なメッセージを感じろうとする試みです。支持体は、3段に分けられたアクリルボックスで、草や枝に加えてそれぞれにガラスビーズ、雲母、胡粉が埋め込まれ、独特のテクスチャーを作り出しています。

いずれも、主観的視座をグランドテーマとする角田俊也の探求の過程を作品化したものです。


角田俊也

1964年神奈川県生まれ。1992年東京藝術大学大学院美術研究科修了。フィールド録音による音源制作と並行して映像やインスタレーションなどを手がける。主な展示に、2025年「恵比寿映像祭2025、東京都写真美術館、2024年「写真鉱山 / スクリーニング vol.1」(スプラウト・キュレーション企画、The White/東京、2021年「風景と声」(スプラウト・キュレーション/東京、外/京都、2016年「トランス/リアル―非実体的美術の可能性 vol.5 伊東篤宏・角田俊也|Transmission / Sound」gallery αM/東京、2013年「Soundings: A Contemporary Score」ニューヨーク近代美術館、「Leader As Gutter Luke Fowler & Toshiya Tsunoda」タカ・イシイギャラリー/東京など。

 

[会場]

The White|千代田区猿楽町2-2-1 澤田ビル2階

東京メトロ・半蔵門線/都営三田線・新宿線[神保町駅]A5出口から徒歩5分

JR [水道橋駅]東口から徒歩8分

[営業時間]

映像作品3点ですので、時間に余裕を持ってご入場ください。定時閉廊へご理解とご協力をお願いいたします。

水–土曜 13–19時

日曜 13–17時

[休廊] 月•火曜

*4/30・5/1-2-3-4通常通り営業。

https:/sprout-curation.com

*広報写真撮影:坂田峰夫

 

角田俊也トークライブ

ゲスト:梅津元(批評家・キュレーター) ナビゲーション:志賀良和

会場:The White 201号室

2025年5月4日(日)17時~

*展示最終日で、17時までです。

参加費:1,000円(税込み)現金またはクレジットカード(JCB以外)

定員に達したのでお申し込みは締め切りました。