伊勢克也|マカロニ/オブジェクト

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伊勢克也|Katsuya Ise
マカロニ/オブジェクト| Macaroni/Object


2019年3月23日—4月28日
*オープニングレセプション3/23(土)18-20時

伊勢克也にとってのライフワークといえる「マカロニ」。それはアルタミラの洞窟壁画にある屈曲線を、かつてあるフランス人考古学者が「マカロニ」と呼んだことに端を発しています。主に狩猟採集などの直接的な描写が多い洞窟壁画にあって、その抽象性は特異なものとして知られ、1980年代当時まだ東京芸大の学生だった伊勢にとって、この謎の屈曲線「マカロニ」との衝撃的な出会いが、その後のアニミスティックな作品世界の嚆矢となったのです。

前回の「マカロニ/遺失物」に続き、スプラウト・キュレーションでは約1年半ぶりとなる本展は、副題として「オブジェクト」が添えられています。その「オブジェクト」とは?

まず一見スポンテニアスな線に見える「マカロニ」には、カリギュラフィのような手による抑揚がありません。それは伊勢自身の身体の慣性に任せたのではなく、木喰い虫の生活痕であったり、また自らが関わった印刷物の文字など人工の形象を採取し、ベクターとしてオブジェクト化(=対象化)したものなのです。ベクターオブジェクト化し、またシルクスクリーンを使うプロセスは筆致を消滅させ、自然と人工物、あるいは主体と客体の中間的な領域への移行を示唆しています。そして、ほぼ単色のオブジェクトが複雑に交錯し、そこで生成した2次元でも3次元でもないトポロジカルな絵画空間は、人間の知覚を超えた外部世界の実在を示唆するかのようです。

本展では、作家自身の手刷りによるシルクスクリーンのユニークピースと、ペインティング、ブロンズ彫刻など新作を発表します。この機会にぜひご高覧ください。